医師が転科に悩んだらどうする?
後期研修医を終えて、これまでずっと進んできた一つの診療科目。たくさんの知識や経験を積み、技術を身につけてきたことでしょう。
そのままその診療科目を極めて、専門医を取得し…と全ての医師がこのような道を辿るわけではありません。
将来の開業に備えて内科から整形外科に転科したり、さらなるスキルアップのために関連する他の科に転科したりと、医師の転科の理由は様々です。
また、日々診療を続ける中で、他の科に興味が湧いたり、現在の科に体力的・時間的な限界を感じたりと、医師が転科を考える事は決して珍しいことではありません。
医師が転科を考える割合と実際に転科を実行する割合は?
医師が転科を考えた時、実際に転科をする医師がどれくらいいるのか?自分以外に転科を考えたことのある医師はいないのか?という点が気になると思います。
医師が実際に転科を考える割合は全体の約30%と言われています。そしてその内の約30%が実際に転科を実行に移しています。
つまり10人に3人は転科を頭に思い浮かべて、1人は転科をしているということになります。
2014年の時点で医師の総数は30万人を超えているので、少なく考えても3万人の医師が転科を経験しているということになります。
医師は何年目で転科をするか?
転科する医師の中でも、医師免許を取得後から転科をする年次にはある特徴があります。
転科した年次 | 転科した医師の割合 |
---|---|
5年以内 | 43.8% |
6年〜10年 | 22.9% |
11年〜15年 | 12.5% |
16年〜20年 | 14.6% |
21年以上 | 6.3% |
医師としてのキャリアが長くなればなるほど、転科をする医師の割合は減っていく傾向にあります。
やはり生涯専門とする診療科目が決まるまでは、転科をする割合が多いということと、専門医を複数取得し、キャリアを作っていくような若い医師ほど、転科をする割合は高くなります。
ただ、年数が長くなれば転科がゼロになる訳ではなく、ある一定数の医師が年数に関係なく転科を実行していることになります。
これは、外科から内科への転科など、年齢や体力的・健康状態などの側面で考えると、当然の結果だと感じます。
医師としての仕事を続けていると、転科というものが案外身近にあり、多くの医師が実行しているものだということができます。
勤務医でも開業医でも転科をするもの
転科を考えるのは、勤務医だけではありません。
一度開業医としてクリニックをオープンしても、数年後に転科をするという事例は少なくありません。
勤務医時代はこれで進んで行こうと思って、開業まで漕ぎつけたけれど、勤務医時代と開業医では診療内容や業務が異なるということはよくある事です。
そうして開業した後でも、転科をして新たなスタートを切るという医師も決して珍しいものではありません。
転科の仕方や進め方は医師専門の転職コンサルに相談
医師が転科を考え始めたら、まずするべきことは医師専門のキャリアコンサルタントに相談することです。
転科には、現在いる病院や医療機関との関係・転科の受け入れ先など、医師一人では解決できない問題がたくさんあります。
そのため、経験豊富な専門サービスに相談することで、希望に沿った転科を実現することが可能になります。
また、こういったサービスは医師を募集する医療機関も、医師の確保のために利用しているので、紹介を受ける医師自身は無料で利用することができます。
その中でも転科に強いサービスを以下にご紹介しておきますが、2〜3つのサービスに登録しておくと、それぞれ違った視点からアドバイスを受けることができるので、転科がスムーズに進みます。
成功例多数!転科におすすめの医師求人サイト一覧
No1. ソニーグループが運営するエムスリーキャリア
エムスリーキャリアは、ソニーグループが運営する最も大きな医師の転職サポートサービスです。
現役医師の登録数が最大級のサービスで、転科の受け入れ先も多数保有しています。
その規模の大きさから日本全国の医師にサポートが可能なサービスです。

No2 転科に強い医師転職ドットコム
医師転職ドットコムはその名の通り、転職案件を専門に扱っており、もちろん転科の経験も豊富です。
エムスリーキャリアに次いで、転科を考えたら相談するべきサービスで、エムスリーキャリアでは得られない提案を得ることも可能です。

丁寧なカウンセリングが魅力のMCドクターズネット
求人の保有数や、提携医療機関の数では3番手のMCドクターズネットですが、医師一人一人にフォーカスしたカウンセリングが特徴です。
上記2つのサービスに登録してからでも、中身の濃いコンサルで転科の相談をすることができます。
拠点は全国18カ所にあるので、住まいや勤務地にも幅広く対応してくれます。
それでも転科先が見つからない
転科を考える医師のほとんどのケースは、上記3つに登録すればまず進めることができます。
それでも希望する転科先や、条件に会う医療機関や病院が見つからない場合は、こちらのページから、医師求人サイト一覧をご覧ください。
診療科目別で見る医師の転科
医師の転科を現在の診療科目と、転科先の診療科目という2つの視点からみた場合、様々なケースがあることが分かります。
その目的は、体力的なものからスキルアップ、また診療方針の変更など、これも様々ですが、その目的を達成するために転科をすることになります。
内科や外科から精神科医への転科
医師が希望する転科先の診療科目は、意外に思うかもしれませんが、実は精神科が最も多く見られます。
医師として人に関わると、精神科領域に興味を持つ医師が少なくないということもありますが、当直や夜勤で激務をしてきた外科医や内科医が、当直の少ない精神科医を目指すというケースも見られます。
また、将来開業を考え始めた医師がどの診療科で開業するか?となった時に選択肢に上がってくるのが精神科医というケースもあるようです。
いずれにしても、精神科医師を目指すなら、受け入れ先の病院やクリニックを探し、必要に応じて精神保険指定医を目指す事も視野に入れる必要があります。
外科から内科への転科
外科医師が内科への転科を希望することもありますが、それは外科医の体力的な問題に深く関わりがあります。
長時間の手術での疲労や、視力の衰えによっておこる処置での疲労など、外科医は自身の体が酷使されることが多い仕事です。
外科医は、体に限界を感じて内科医への転科を希望することが少なくありません。
また、外科医で将来のことを考え、クリニックの開業に思い当たった場合も、内科に転科し、開業までに内科医としての仕事を身につけ、開業に至ることもあります。
ワークライフバランスで見る医師の転科
医師としての仕事と、家庭の両方を考えた場合、当然どちらも人生において重要な問題です。
医師はその仕事の内容によっては、とても時間が不規則な仕事であり、当直やオンコールなど、ワークライフバランスが崩れやすい職業でもあります。
このワークライフバランスの乱れが、転科のきっかけになることも少なくありません。
女医の転科
女性医師は、男性医師と比較し、生活の環境が変わりやすい傾向にあります。
それは結婚・出産・パートナーの転勤など様々ですが、特に結婚後は働き方を変えざるをえない状況になることが多いです。
そのため、女性医師は医師の仕事について客観的に見つめ直す時間があり、臨床復帰などの転機が訪れた際に、転科をすることがあります。
家庭との両立を考え、健康診断のみの職場でアルバイトをしたり、産婦人科で非常勤として復職したり、老人病棟の管理をしたりと、私生活とのバランスを取りやすい科に転科します。
状況で見る医師の転科
医師が転科するタイミングは?
医師には転科を考える様々なタイミングが訪れます。
後期研修医の時点で転科を考える医師もいますし、ある程度のキャリアを積み、専門医を取得した後でさらにステップアップを目指す医師も存在します。
それでも転科は、医師としての現在を大きく変える決断であることに間違いはありません。
そこで、医師はどのようなタイミングで転科をするべきかをこちらにまとめています。
医師が転科する理由とは?
医師の転科には、様々な理由が存在します。
年齢や家庭とのバランスを考慮して、時間や体力的にバランスの取れた働き方を望んで転科する医師。
そして専門医の資格取得や、開業前に診療科目を増やすために新しい科を志すといった、キャリアやスキルアップのために転科をする医師など、その理由は様々です。
医師の転科をの理由を知り、転科を考える際の参考にしてください。